奨学金を繰上返還の手続き方法とメリット、デメリットまとめ

奨学金の一部は、自分の都合に合わせて繰上返還できます。ただし繰上返還を行うには、事前に手続きを行わなければなりません。日本学生支援機構では、以下の3つの手続き方法を用意しています。

  • ・インターネットでの手続き
  • ・郵送・FAXでの手続き
  • ・電話での手続き

各手続き方法の詳細は以下のとおりです。

・インターネットでの手続き方法

インターネットを使った繰上返還の手続きは、日本学生支援機構の情報システム「スカラネット・パーソナル(以下スカラネットPSと記載)」上で行えます。ただし、スカラネットPSを利用するには登録が必要です。事前に登録を済ませたうえで、手続きを行ってください。

スカラネットPSの確認情報入力画面でリレー口座の口座番号などを入力すると、トップページに進めます。トップページには「各種届願・繰上」と書かれたバナーがあるので、これをクリックしてください。

表示された画面に「ワンタイムパスワードの取得画面へ」と書かれているので、これをクリック。パスワードの送付先として事前に登録したメールアドレスが表示されるので、間違いがなければ発行ボタンをクリックします。

ワンタイムパスワードがメールで届いたら、「各種届・願出・繰上返還申込の処理選択画面へ」をクリックしてください。画面の指示に従ってワンタイムパスワードなどを入力したら、次の画面で「3.繰上返還申込」を選択します。

「繰上返還申込 誓約」と書かれた画面が表示されるので、内容を確認してから氏名を入力。次の画面に進んだら、リストから「一部繰上」を選択してください。一部返還を行う奨学金を選択したら、繰上返還する金額を決定します。

返還する金額は「◯回分」といった返還回数か、具体的な金額のどちらかで指定できます。ただし後者の場合は、入力した金額をそのまま返還できるわけではありません。指定した額を上限として、月賦額の倍数のうち指定額に最も近い金額が引き落とされる形になります。

金額を決定したら内容確認を行い、最後に送信ボタンをクリックすれば手続きは完了です。なお、繰上返還の申し込み期間は、繰上返還したい月の前月中旬から当月中旬の間です。

たとえば2016年9月に繰上返還を行う場合だと、同年8月17日から9月13日が申し込み期間となります。ただし、申し込みが締め切られるのは9月13日の午前1時です。同日の午前8時からは、10月分の受付が始まってしまうので注意してください。

また、申し込み開始日と申し込み締切日は月ごとに違います。具体的な日程を知りたい方は、日本学生支援機構に問い合わせを行ってください。

・郵送・FAXでの手続き方法

郵送もしくはFAXで繰り上げ返還を行う場合は、「繰上返還申込書」が必要となります。この書類は、日本学生支援機構のホームページからダウンロード可能です。

申込書には奨学生の情報や繰上返還希望月、希望内容などを入力する欄があります。繰上返還する金額は、インターネットから申し込む場合と同様に指定できます。必要事項を申込書に記載したら、郵送またはFAXで日本学生支援機構に送付してください。

なお、郵送およびFAXで繰上返還を申し込む場合は、申し込み期間がインターネット経由の場合と大きく違います。具体的な申し込み期間は、繰上返還を行う月の4ヶ月前から1ヶ月前の間です。

たとえば12月27日に繰上げ返還したいなら、8月28日から11月27日の間に申し込みを行わなければなりません。申し込みが受理されると、繰上返還を行う1ヶ月前から当日の間に日本学生支援機構から「繰上げ返還通知書」が届きます。

もし繰上返還希望月の中ごろまでに上記通知書が届かない場合は、「奨学金返還相談センター」に問い合わせを行ってください。

・電話での手続き方法

前述の奨学金返還相談センターでは、電話での繰上返還申し込みを受け付けています。受付時間は午前8時30分から午後8時まで。ただし、土日祝日と年末年始は受付を行っていません。

電話での繰上返還申し込み期間は、希望月の前月となっています。詳しくは、奨学金返還相談センターに問い合わせてください。

  • 繰り上げ返済のメリット、デメリット

奨学金の繰上返還を行うと、残債が減るだけでなく以下のようなメリットを得られます。

・返還期間が短くなる

・精神的な重荷が減る

・第二種奨学金であれば、繰上げた分だけ利息の支払いが減る

繰上返還を行うと、支払いを繰り上げた分だけ返還期間が短縮されます。奨学金は高額になりやすいため、返還期間が10年以上となるケースが少なくありません。繰上返還を上手く活用すれば、この長い返還期間を大幅に短縮することも可能です。

返還期間が短くなれば、精神的な重荷が減って心にゆとりが生まれます。さらに第二種奨学金の場合は、返還期間の短縮によって利息の支払いが減るので一石二鳥です。

以上のようなメリットをもつ繰上返還ですが、デメリットがないわけではありません。

・計画的に利用しなければ経済的に損をする場合がある

奨学金の繰上返還は、やみくもに行うと経済的な損を被る可能性があります。たとえば奨学金の返還以外に、自動車ローンの支払いを抱えているケースを想定してみましょう。

自動車ローンの金利は金融機関によって違いますが、年率3%を超えるものも少なくありません。一方、第二種奨学金の金利は最高で3%です。第一種奨学金となると、金利負担はゼロ。どうせ繰り上げて返済するなら、利率の高いローンの返済に力を入れた方が得です。

しかし、高額な奨学金の残債を減らすことに熱中するあまり、こうした損得を冷静に判断できなくなる場合もあります。ましてや奨学金は「学生時代に作った借金」ですから、早く返済したくなるのも無理からぬことです。

とはいえ、経済的な損失は避けたいところ。奨学金以外のローンを抱えている場合は、金利の高い負債の返済に力を注いでください。ほかのローンを完済すれば、家計にゆとりができて奨学金の繰上返還も行いやすくなるはずです。

  • 繰り上げ返済をした方がいい場合

前節でご紹介したように、メリットもデメリットもある奨学金の繰上返還。この制度はどんな場合に利用したほうがよいのでしょうか。

まずあげられるのが、ボーナスまたは臨時収入があり、余裕をもって多めに奨学金を返還できる場合です。経済的に余裕ができたなら、繰上返還を行って損はありません。

また、臨時収入などがなくても、第二種奨学金の金利が高い場合は繰上返還を行ったほうがよい場合があります。利息のある負債は、早く減らすに越したことはありません。

とはいえ、無計画な繰上返還を行うのも考えものです。「貯金が50万円貯まったら、そのうち10万円を繰上返還にあてる」といったルールを作って、計画的な奨学金返還を行ってください。

  • 繰り上げ返済をしない方がいい場合

前節とは逆に、繰上返還を行わないほうがよい場合もあります。たとえば先に述べたような、奨学金以外のローンがある場合。社会人になると、ローンを組む機会が多くなるものです。ローンだけでなく、キャッシングを利用する機会もあるかもしれません。

銀行や消費者金融のキャッシングは年率14%〜18%前後と高利率。こうした金利の高い借入れがある場合は、そちらの返済を再優先に行ったほうが賢明です。

また、上記のような借り入れがなかったとしても、経済的にゆとりがない状態での繰上げ返還はおすすめできません。極端に貯金を切り崩してまで、奨学金の支払いを繰上げる必要はないのです。

奨学金の返還は、安定して続けることが基本。無理に繰上返還を行って、後々の支払いが滞っては本末転倒というものです。決して無理はせず、まずは毎月安定した返還を継続できるように努めてください。

  • 奨学金と銀行ローンは何が違うのか

奨学金とよく似た金融サービスに、銀行の取り扱う教育ローンがあります。学業のためにお金を借りる行為という点で、教育ローンと奨学金は同じです。では、両者はどこがどう違うのでしょうか。奨学金と教育ローンの主な違いを以下で見てみましょう。

・奨学金は成績優秀かつ生活が困窮している学生のみが利用できる

・教育ローンは成績や経済状況に関係なく利用できる

奨学金は、「成績が優秀であるにも関わらず経済的な事情で進学が難しい学生を支援する制度」にほかなりません。この制度としての基本的な性格から、奨学金は一定の条件を満たす人だけが利用可能となっています。

この一方で教育ローンは、貸出の審査に合格しさえすれば誰でも利用できます。審査において、学校の成績を問われることはありません。また、教育ローンは裕福な家庭の人でも利用できます。教育ローンはあくまで一般的なローン商品であり、住宅ローンなどと同じ感覚で利用可能なのです。

・教育ローンは必ず利息がつく

・奨学金は種別によっては無利息で利用できる

教育ローンは銀行が営利目的で提供するものであり、利用すれば必ず利息が発生します。ちなみに利率は、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」の場合で年率1.90%(2016年7月5日現在)となっています。

一方、奨学金は第一種であれば無利息です。また、有利息の第二種は年利が最高3%となっていますが、近年実際に採用された利率は1%台半ば以下に収まっています。比べてみると、金利の面では教育ローンより奨学金のほうが良心的だといえそうです。

・奨学金は在学中無利息、返還は卒業の7ヶ月後から始まる

・教育ローンは在学中から利息がかかり、返済は借入日の翌月から始まる

奨学生が在学している間、第二種奨学金の利息は課されません。また奨学金の返還は、奨学生が卒業した月の7ヶ月後から始まります。一方で、教育ローンの利息は在学中から発生しますし、返済も最短で借入日の翌月からスタートします。

なぜこのような扱いの違いがあるのかというと、返済義務を背負う人が両者で違っているからです。基本的に、奨学金は利用した奨学生が返還すべきものとされています。

一方で教育ローンは、借り入れも返済も学生の親が行うことが一般的。親が返済するのですから在学期間中の利息は猶予されませんし、返済もすぐに始まるというわけです。

・教育ローンは350万円が上限(国の教育ローンの場合)

・奨学金は500万円以上借りることも可能

教育ローンの上限利用額は、国の教育ローンの場合で350万円となっています。一方の奨学金は500万円以上の利用が可能ですし、借入れ総額が1,000万円以上となるケースも珍しくありません。借入可能額の大きさでは、奨学金に軍配が上がりそうです。

ただし教育ローンの中には、担保を入れることで最高3千万円まで借りられるものもあります。条件付きではあるものの、教育ローンも奨学金と同等以上の金額を借りることは可能となっています。

・奨学金は進学後にしか貸与されない

・教育ローンはいつでも借りられる

奨学金は学校に入学した後でしか貸与されないため、入学準備などには活用できません。他方、教育ローンは一年中いつでも利用可能です。

下宿の敷金や入学金などには、入学前に調達できる教育ローンが役立ちます。利用者にとっては、この点が奨学金と教育ローンの一番大きな違いといえるかもしれません。

上記の違いがあることから、奨学金の貸与が決まっている場合でも教育ローンを活用する価値はあります。両者は競合するものではなく、併用して学業に役立てられるサービスなのです。

以上の説明で、奨学金と教育ローンの違いをご理解いただけたでしょうか。両者に相違点は多々ありますが、どちらも学生にとって重要な金融サービスである点は同じです。ぜひ2つのサービスを、充実した学生生活を送るために活用してください。