奨学金の返済方法と利用前に知っておきたい事について

進学の助けとなった奨学金は、学校の卒業後に割賦で返済しなければなりません。返済が始まるのは、貸与期間が終わった次の月から数えて7ヶ月目からです。

貸与期間は学校の卒業とともに終わるので、学校を卒業して7ヶ月目には奨学金の返済が始まることになります。具体的な返済方法は、銀行口座からの引き落としです。

引き落としに使用する銀行口座は「リレー口座」と呼ばれます。この愛称には、「返還したお金が奨学金として後輩奨学生にリレーされる」という意味が込められています。リレー口座を使って返金した奨学金は、また新たな奨学生をサポートするための資金となるのです。

そんな重要な役割をもつリレー口座ですが、どんな銀行からでも加入できるわけではありません。リレー口座は主に以下のような銀行で取り扱われています。

  • ・ゆうちょ銀行
  • ・都市銀行
  • ・地方銀行
  • ・第二地方銀行
  • ・信託銀行
  • ・信用金庫
  • ・農業協同組合

リレー口座の申し込みは上記の金融機関で行えます。ただし、専用申込書である「口座振替(リレー口座)加入申込書」は、金融機関の店頭には置いてありません。

専用申込書は、日本学生支援機構に請求することで入手できます。内容を記入した申込書は金融機関の窓口に提出するか、日本学生支援機構に返送することで受理されます。

奨学金の割賦方法は、「月賦返還」「月賦半年賦併用返還」の2種類から選択可能です。月賦返還は、毎月一定額がリレー口座から引き落とされる割賦方法です。引き落としが行われるのは、毎月27日となっています。

一方の月賦半年賦併用返還は、奨学金の半分を月賦で、もう半分を半年に1回のペースで返済していく割賦方法です。こちらは月賦分が毎月27日、半年賦分が毎年1月27日と7月27日に引き落とされます。

月賦・半年賦併用返還は月々の返還額を安く抑えられますが、半年に一度まとまった金額を返還しなければなりません。月賦返還と比べると、計画性を問われる割賦方法といえます。

なお、最初の半年賦分の引き落としが行われるのは、奨学金返済がスタートしてから直近の1月または7月です。滞りなく返済できるように、リレー口座には常に半年賦分のお金を入れておくことをおすすめします。

  • 奨学金返済シミュレーターとは?

奨学金を利用する前に、返還総額や毎月の返還額を試算できると便利です。そこで活用したいのが、日本学生支援機構のホームページに用意されている「奨学金返済シミュレーター」。

奨学金返済シミュレーターとは、奨学金の返還額などを試算できるシミュレーションシステムです。このシステムを使えば、複数の質問に答えていくだけで奨学金の返還額を試算できます。

奨学金返済シミュレーターは2種類用意されていますが、具体的な返還額の試算には「詳細シミュレーション」が便利です。詳細シミュレーションを使うと金利を設定した計算ができるため、かなり具体的な月々の返還額を試算できます。

ただし、あくまで計算できるのは返還例なので、試算結果が実際の返還額が同じ金額になるとは限りません。とはいえ、おおまかな月賦の金額などを知るには十分役に立ちます。

  • 第一種奨学金の返済額の目安

ここからは、各種奨学金の特徴と返還額の目安について見ていきましょう。奨学金には第一種と第二種があります。両者のうち第一種奨学金は、無利息で利用することができる奨学金です。

第一種奨学金を利用するためには、審査に合格しなければなりません。基本的には成績が優秀で、かつ経済的な理由によって修学が難しい状況にある人が審査通過の対象となります。

以上の点をご理解いただいたところで、第一種奨学金の返還額の目安を見ていきましょう。返還額の目安を知るには、まず奨学金の貸与総額を算出しなければなりません。

第一種奨学金の金額は進学する学校の設置者や種別と、奨学金利用者の通学形態によって決定されます。たとえば、国公立(設置者)の4年制大学(種別)に自宅から通う(通学形態)人の場合は貸与月額が4万5千円になります。

貸与月額とは、毎月貸与される奨学金の金額です。月額4万5千円を4年間借りれば、貸与総額は216万円となります。これで奨学金の総額を算出できました。次に、月々の返還額を見ていきましょう。

貸与総額が216万円である場合、支払い年数は14年となります。支払回数は14×12で168回。この支払回数での月々の返還額は、12,857円です。ただし端数の帳尻を合わせるために、最終月の返還額は12,881円となります。

他方、同じ奨学金を月賦半年賦併用返還で返済した場合は、月賦分が6,428円の168回払いとなります。ただしこちらも端数が出るので、最終月の返還額は6,524円になります。

見比べればわかるとおり、月々の返還額が月賦返還の半分程度になりましたね。残りの半分は半年ごとに分けて支払うことになります。

今回の例でいうと、半年賦分の返還額は38,571円です。この金額を半年ごとに、合計28回支払います。ただし、最後の支払いだけは帳尻を合わせるために38,583円となります。

第一種奨学金は無利息なので、月賦返還も月賦半年賦併用返還も返還総額は同じです。とはいえ半年ごとに返還する3万8千円は、やや大きな金額に感じるかもしれませんね。

半年賦に備えてお金を残す習慣を身につけておかないと、返還が滞る可能性もあります。月賦半年賦併用返還について、「計画性を問われる返還方法」であると先に述べたのはこのためです。上記の返済額はあくまで一例ですが、割賦方法ごとの支払いイメージの違いを感じていただけたかと思います。

  • 第二種奨学金の返済額の目安

第二種奨学金は、利息のつくタイプの奨学金です。こちらも第一種同様に、審査を受けなければ利用できません。ただ第一種と比べれば、審査基準は比較的緩めとなっています。

第二種奨学金の貸与月額は、3万円、5万円、8万円、10万円、12万円の中から自由に選択可能です。当然ながら、選んだ貸与月額次第で貸与総額は大きく変わります。

たとえば4年制大学に通う人が、貸与月額5万円の奨学金を利用したとします。4年間は月数でいうと48ヶ月ですから、5×48で貸与総額は240万円です。

奨学金の返済を行う際は、この貸与総額に対して利息がかかります。利率は時期によって変動しますが、どんなに高くても上限として定められた3%を超えることはありません。

また、利息の計算方式は「利率固定方式」と、「利率見直し方式」から選択できます。前者は一度決めた利率が返済終了時まで変わらない方式です。後者は5年毎に利率が見直される方式になります。

では、利息を合わせた奨学金の返還総額はいくらぐらいなのでしょうか。たとえば、利率固定方式で総額240万円の奨学金を返還するとします。利率を1.0%と仮定して、返還方式に月賦返還を選んだとすれば、返還総額は259万7,188円となります。

次に、返還回数と月々の返還額を見てみましょう。貸与総額が240万円である場合、返還にかかる年数は15年で返還回数は180回です。月々の返還額は14,428円で、最終月のみ14,576円となります。

他方、返還方法を月賦半年賦併用返還とした場合は、返還総額と月々の返還額が違ってきます。まず返還総額は、月賦返還の場合より少しだけ高い259万7,663円です。

この金額での月賦分の返還額は7,213円。返還回数は月賦返還と同じく180回で、最終月のみ返還額が7,423円となります。半年賦は43,303円の30回払いで、最終回のみ43,326円です。

なお、この返還額もあくまで一例に過ぎません。とはいえ、返還額の目安の一つとなるはずです。より具体的な返還額を知りたい場合は、前述した奨学金返済シミュレーターを利用することをおすすめします。

  • 奨学金を借りる前に知っておくべきこと

子供には平等に教育を受ける権利があります。奨学金はその権利を守るための制度にほかなりません。ただ、この制度を利用する前に知っておくべきことがあります。

まず「奨学金は基本的に借金である」という点は、利用前に理解しておくべきです。当たり前の話ですが、相手が国の機関だとしても借りたお金は必ず返さなければなりません。

「そんなこと言われなくてもわかってる」という声が聞こえてきそうですね。しかし、奨学金の滞納者は増加傾向にあります。わかっていても奨学金を返還できない人が増えているのです。

奨学金の返還が滞ると延滞利息がかかりますし、督促の電話もかかってきます。とはいえ、奨学金が「怖いもの」というわけではありません。

重要なのは計画性です。計画的に利用すれば、奨学金は学業の助け手となってくれます。奨学金の利用を検討している親御さんは、計画的な返還を子供にもしっかり意識させてください。

このほか、「奨学金は進学後にしか受け取れない」という点も覚えておく必要があります。奨学金の採用は進学前に受けることができますが、実際にお金が手に入るのは進学した後なのです。

このことから、奨学金は入学の準備などには利用できません。入学金や下宿を借りるための初期費用などは、ほかの手段で用意することになります。たとえば教育ローンを組むのも一つの手です。

学業にかかる費用を調達する手段は、奨学金だけではありません。学資保険を準備しておくなどして、進学にかかる初期費用を満たせるようにしてください。