奨学金は無担保ローンの一種だと思われている方は意外と多いと思います。
そこで今回、本当に奨学金は無担保ローンなのか?という事をその性質などから解説して行きたいとおもいます。
また、奨学金が返済出来なかったときにどの様な対応がなされるのか?返済が遅れそうになったらどうすれば良いのか?を紹介します。
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Contents
無担保ローンにはどんなものがあるの?
奨学金と無担保ローンの関係について説明する前に、無担保ローンについて説明します。金融機関による無担保ローンの種類は以下の通りになります。
・銀行系無担保ローン
銀行は、銀行法の管轄により営業をしています。銀行は、日本銀行や一般預金者から資金調達が出来るので、貸付金利は低めです。しかし、預金者保護の観点や政策によって、無担保ローンに消極的なところもあります。
商品内容
- ・カードローン
- ・目的ローン
- ・まとめローン
- ・消費者金融系無担保ローン
消費者金融は、貸金業法の管轄により営業しています。消費者金融は、他の金融機関から資金調達をしている為、金利は高めです。また、貸金業法には総量規制がある為、借り入れ総額に制限があります。
しかし、無担保ローンについては、主力商品になるので積極的に提供しています。また、付帯サービスも充実していて、非常に利用しやすくなっています。
商品内容
- ・カードローン
- ・目的ローン
- ・まとめローン
- ・信販会社系無担保ローン
信販会社(カード会社)も貸金業法の管轄になりますが、元々が物販サービス(ショッピング)の会社になる為、無担保ローン(キャッシング)は、付帯サービスになります。
商品内容
- ・キャッシング
奨学金は無担保ローンなの?
奨学金は、無担保ローンとは全く異なります。その違いについて説明して行きます。
・奨学金と無担保ローンは性質が違う
奨学金の性質は、金銭的な理由により、修学が困難な学生に対して、金銭給付や金銭貸与といった形で修学支援を行う事が目的となっています。その為、その運営をしている機関は公共から民間まで多種にわたりますが、根本的に非営利目的となっています。
それに対して、無担保ローンは利息収入を目的とした営利目的のローンとなる為、奨学金と無担保ローンは、その性質が全く違うものになります。
・貸与型の奨学金と無担保ローンの違い
貸与型奨学金と無担保ローンは、借りた後に返済をしていくという点では共通するので、奨学金を無担保ローンと勘違いされる方がいます。
しかし、借り入れをする手続きにおいてもかなり違いがあります。
奨学金の場合は、学生であれば、アルバイト等の安定収入が無くても借り入れが出来ます。しかし、無担保ローンの場合は、無収入ではお金を借りる事が出来ません。
また審査についても、奨学金の場合は、本人の成績や家庭の所得が上限を超えていない事が条件となりますが、無担保ローンは、本人の返済能力が条件となる為、かなりの違いがあります。
・奨学金は無担保では無い!
奨学金は必ずしも無担保とは限りません。
多くの奨学金は、連帯保証人や保証人を必要とします。この連帯保証人や保証人は人的担保であり、立派な担保なので、その点からも、奨学金は無担保ローンにはなり得ない理由になります。
・奨学金は返済猶予がある!
奨学金には返済猶予期間があります。在学中は返済猶予があったり、返済中でも事情がある場合に、返済猶予を与えられたりします。
それに対し、無担保ローンは、借りた翌月から返済が始まり、返済猶予を与えられる事はほとんどありません。
奨学金を返済しなかった時のペナルティーとは?
奨学金を返済しなかつた時のペナルティーとしては、信用情報機関に事故報告がされたり、法的に債権回収を行ったりするという事ですが、金融機関でお金を借りた場合とほとんど変わりません。
尚、日本学生支援機構の公式ホームページでは、返済が遅れた場合の対応について規定しています。
以下にその内容を公式ホームページより抜粋します。
・電話による督促
(1)日本学生支援機構職員の他に、業務を委託した債権回収会社から行う場合があります。
(2)電話をする時間帯は、平日、休日ともに9時~21時です。
(3)事前に承諾を得ている場合や、自宅・携帯番号の登録がない等、他に連絡を取る方法がない場合には、本人の勤務先に電話をすることがあります。なお、業務を委託した債権回収会社から電話を行う場合、個人名を名乗り、本人であることを確認してから内容についての案内があります。
※債権回収会社への架電業務委託について
日本学生支援機構では、返還が滞っている人に対しての架電業務を業者に委託しています。
個人情報保護の観点から、電話口の人が本人、連帯保証人、保証人と確認が取れない場合には、内容を伝えません。また、留守番電話に日本学生支援機構から委託を受けている債権回収会社であることを名乗ることも控えています。
※債権回収会社による督促について
日本学生支援機構が委託した債権回収会社は、電話、文書および自宅等への訪問により督促を行っておりますが、自宅等への訪問の際、直接現金を徴収することはありませんので、ご注意ください。
・延滞が続いた場合の対応
延滞が続いた場合の対応は①機関保証を受けている場合と②保証人がいる場合の2通りあります。
・機関保証を受けている場合の対応
- 一括返還請求
返還期限が到来していない分を含め、返還未済額の全額、利息および延滞金を返還請求されます。
- 代位弁済請求
日本学生支援機構から保証機関((公財)日本国際教育支援協会)に対し、返還未済額の全額、利息および延滞金について請求を行います。
(3)保証機関からの請求・督促
代位弁済がされた場合、(公財)日本国際教育支援協会から、代位弁済額の一括請求をされます。
- 強制執行
返済に応じない場合は、(公財)日本国際教育支援協会が強制執行にいたるまでの法的措置を執り、給与や財産を差し押さえられます。
・保証人がいる場合の対応
長期間延滞が続くと、次のような民事訴訟法に基づく法的措置が執られます。
- 支払督促予告
延滞し、督促されても返還が無い場合は、返還期限が到来していない分を含め、返還未済額の全部、利息および延滞金の一括返還を請求されると共に、支払督促を申し立てることの予告がされます。
- 支払督促申立
支払督促予告の返還期限を過ぎてもなお返還されない場合は、裁判所に支払督促の申立がなされます。
- 仮執行宣言付支払督促申立
支払督促の申立をされてもなお返還が無い場合は、裁判所に仮執行宣言付支払督促の申立がなされます。
- 強制執行
仮執行宣言付支払督促の申立がされてもなお返還が無い場合は、強制執行の手続きをとられます。
※支払督促以降の手続きにかかった費用は、返還者の負担になります。返還金の充当順位は、督促費用があるときは、まず督促費用に充当し、次に延滞金、利息(第二種奨学金のみ)、最後に元金の順になります。
返済が遅れそうになったときはどうすればいいか?
返済が遅れそうになった場合の対応についても、日本学生支援機構の公式ホームページに記載されていますので、下記に抜粋します。
返還が困難になった場合、割賦金額の減額や返還期限を猶予する制度があります。
そのような状態になった場合は、延滞する前にすみやかに手続きをおこなってください。
・減額返還制度
減額返還制度は、災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難な人の中で、当初約束した割賦金を減額すれば返還可能である人を対象としています。
一定期間1回当たりの当初割賦金を2分の1に減額して、減額返還適用期間に応じた分の返還期間を延長します。毎月の返還額を減額するため、無理なく返還を続けることができます。
願い出るためには、提出する証明書が、一定の要件に合致しなければなりません。
適用期間は12か月(6か月分の割賦金を12か月で返還)で最長10年(120か月)まで延長できます。
・返還期限猶予
災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合は、返還期限の猶予を願い出ることができます。そのような状態になった場合は、延滞する前にすみやかに手続きをおこなってください。
申請には所定の書類の提出が必要です。審査により承認された期間については返還の必要がありません。適用期間後に返還が再開され、それに応じて返還終了年月も延期されます。 ただし承認されない場合は返還を継続する必要があります。
※返還期限の猶予は、一定期間返還期限を延期する制度であり、返還すべき元金や利息が免除されるものではありません。
・返還免除
本人が死亡し返還ができなくなったときや、精神若しくは身体の障害により労働能力を喪失、又は労働能力に高度の制限を有し、返還ができなくなったときは、全部もしくは一部の返還が免除される事があります。
学生が奨学金以外でお金を借りる方法は?
学生がお金を借りる場合、バイト等の安定収入があれば、カードローンや学生ローンを借りる事が出来ます。しかし、学生向けのローンは、非常に少額融資となる為、学費の支払い等にはあまり向きません。
奨学金と同等な額を借りるとしたら、「教育ローン」がありますが、学生本人が「学生ローン」を借りるという事はほとんど不可能です。
まとめ
今回、奨学金と無担保ローンについて説明してきました。返済を延滞した時の督促等は奨学金も無担保ローンと同様なペナルティーを負う事になります。
しかし、奨学金の場合は、返済猶予期間があったり、返済できなくなった時の救済策があったりします。
また、借りられるお金の額もかなり違いがあり、利用目的についても違いが出てきます。この様に違いがありますが、この違いが奨学金と無担保ローンの特徴になります。
奨学金は、金銭的理由により、修学が困難な人が修学目的で利用するのに適しており、無担保ローンは収入的に多少の余裕があり、一時的に資金が必要となる場合にせ適しています。この様な特徴を理解した上で、どちらが使いやすいかを判断して利用する事をおすすめします。